【奥田浩美ブログ】
大切にしている6つのこと
今日の登壇は自分が話せる時間が10分程度しかなかったので、スライドに要点をまとめていました。
私が最も心を砕き、常に意識しているのが、DEIの本質的な実現です。それは単なる社会的な流行り言葉ではなく、私が35年ほど前に福祉の世界から自分の専門分野が始まった頃からの想いで、豊かで創造的な未来に不可欠な土台だと確信しています。
1. ロールモデルの提示と次世代視点
まず何よりも、多様なバックグラウンドを持つロールモデルの存在をステージ上で積極的に示すことです。私が創るステージは未来を見せたい。特に次世代の才能にとって「自分もこうなれるかもしれない」「こんな道もあるんだ」という具体的な希望となり、新たな挑戦への大きな一歩を後押しする力を持つと信じています。
だからこそ、同質の年配男性だけのステージは作りたくないのです。
2. セッションテーマの多様化への配慮
カンファレンスで取り上げるテーマは、社会の複雑な課題や変化を映し出す鏡であるべきです。一部の関心に偏ることなく、これまで光が当たりにくかった分野や、多様な参加者一人ひとりが持つであろう問題意識に寄り添えるよう、テーマの多様化には細心の注意を払っています。それにより、思いがけない化学反応や、新たな視点の発見が生まれることを期待しています。さらにはテーマが広くなると今までの登壇者と異なる人々が浮かんできます。
3. 「実力主義」のその物差しは、いつの時代のもの?
登壇する人は「実力主義」で決めるべき。果たしてそうでしょうか?「実力主義」という言葉は、一見公平に響きます。しかし、その「実力」を測る物差し自体が、無意識のうちに特定の価値観や経験則に基づいていないか、常に自問し続ける必要があります。画一的な基準で判断することは、埋もれた才能を見過ごすことに繋がりかねません。
4. 選考プロセスにおける同質コミュニティへの意識
登壇者や協力者を選考する際、「いつもの顔ぶれ」に安心感を覚えてしまうのは、人間の性かもしれません。しかし、それでは新たな風は吹き込みません。無意識のバイアスが働き、同質的なコミュニティ内での推薦に偏っていないか、常に自覚的であるよう努めています。多様な才能を発掘するため、選考プロセスそのものの透明性と公平性を追求します。
5. 女性をはじめとする多様な人々へのステレオタイプの排除
「女性だから」気配りがあり、場をまとめるのが上手。「若いから」学ぼうとする姿勢がステージに行かせる。そういった、属性に基づく無意識のステレオタイプや思い込みは、個人の可能性を狭め、組織の成長を妨げます。私たちは、あらゆるラベルから自由になり、一人ひとりの能力、経験、そして情熱を正当に評価し、尊重する姿勢を貫きたいと考えています。
6. DEIの形骸化とアリバイ作りへの自問
DEIは、数値目標を達成したり、体裁を整えたりすることがゴールではありません。それが単なるアリバイ作りや形骸化したスローガンに終わってしまわないよう、常にその本質を問い続けます。大切なのは、Vol.1に書いた「インクルージョン」の実感です。
では、数値目標は必要ないのか?全く逆です。数値目標を入り口に場の空気を変えていくのはとても効果的。何もしない人が、数値目標はいらない・・とかいうのは言語道断。
これらの視点を胸に、カンファレンスが、参加する全ての人々にとって真に価値ある出会いと学びの場となり、新たな視点やイノベーションが生まれるきっかけとなることを私は目指しています。