「次世代の女性のために今自分ができること」という言葉がなくなる日

「次世代の女性のために今自分ができること」という言葉がなくなる日

【奥田浩美ブログ】

「私を女性枠で扱わないで!」

こういう言葉を聞いたことはないですか?
「いままで一度も女性としてマイナス面を自分で感じたことがないです…」
「女性だったことはプラスにはなれ、マイナスはないです…」
「女性だからといって大変だったことは何もないです」

聞いたことがあるもないも…、これ私が10年前に言っている言葉でした。
実際、心の底からそう思っていましたから。

最先端で活躍し、”女性全体”の生き方を変えてきたつもりの女性たち。
実は一番その恩恵にあずかっていたのは、「女性の生き方を変えていると自負する先端の自分たちだけ」というケースがとても多かったのではないかと最近思います。
具体的にはどういうことでしょう。
世の中にはとても意識も高く、行動もフラットで、次の世代をどうしていくか真剣に考えている素晴らしい男性たちがたくさんいます。
そういう男性は、現在の男女差における不条理を性別を越えて変えていこうと心の底から思っています。

才能も有り、そういう社会に存在し、素晴らしい男性たちに囲まれている女性は、その層の男性たちに囲まれることになります。
そこで何が起きるか?
沢山のチャンスを与えられ、沢山の評価がもらえます。
私はここ10−20年ほど最先端の女性が素晴らしい恩恵を受ける時代はなかったと感じています。
多くのサポートがあるし、注目も浴びる。
一部のロールモデル的女性達だけが…。

そして、一部の女性たちは発言します。
「実力があれば必ず評価されます。ですから、女性であることに甘えず、女性も頑張ればいい!」
「私は自分の力だけで評価されているので、私は女性枠で扱われるのは心外です。」
「女性・女性と言い続けて、女性が恵まれないと言い続ける枠にいる女性が意味わからない」



10年前の私がそうでしたが、私自身、20代・30代は「私を女性の枠で扱わないで!」と肩肘張りながら生きていました。
そもそも男性がほとんどのIT業界の中で一度も女性として不利益を被ることもなかったですし、「女性枠」を利用し始めるとその枠の上限で”いい気になって”生きていきそうな気がしたからです。

でも、いまになって思うと「私は”そこらの女性”と違って、そんな枠じゃなくても対等に生きていけるの!」という、ものすごい驕りだったんじゃないかと思っています。

確かにいまも世の中には私の若い頃のように「女性だからって能力があればまったく問題ない、女性として扱わないで」という女性が沢山存在していますし、そんなところで立ち止まらなくていい。

でも、そうだとすると、男女平等ランキング114位って何でしょう??
世界経済フォーラムが発表する2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」で、また順位を落としてしまったこの順位。
そんな指数が示されているのに、「私はそんなことを感じたことがない!」ということがどれだけ意味を持つのでしょうか。
私がそれが見えなかったように、ある一定の層の女性たちには実は見えない層・見ようとしない層があるのです。


シェリル・サンドバーグの言葉

シェリルサンドバーグのこの発言を知っていますか?

女性の社会進出が非常に停滞していることについて、世の中で声をあげようと思った時に


『周りの人には「とんでもない、そんなことをしたらあなたのこれまでの実績が無になる」とか「あり得ない。ビジネス界でやっていけなくなるから、そんなテーマを話すべきではない」と大反対されました。』

気づいてそちら側に行くと、失うものがある女性の立場を象徴する話です。
恵まれている側に行ったら、気づかないふりをして優位な立場を味わうのが一番賢こかった時代がありました。

でも、それでいいのでしょうか。
ある意味一点突破から拡がるチャンスも有るので、天井を打ち破って穴を開ける女性がいてもいいかもしれません。
男性はそもそも「このことは男性全体のために・・・」とか、そんなことを考えもしないんだから、自分の力で自分が幸せになることを考える女性だらけになってもいいんじゃないか?
そういう20年も過ごしてきました。
もう、どちらでもいい。私たちはどちらでも仲間です。
”私達女性が”という主語もいらない時代に早くなればいいと思います。 そもそも男性が「僕達男性が、次世代の男性のためにできること」
ってあまり言わないじゃないですか?
でも、まだそんな時代じゃない。
だったら、今の私は見えていない世界の女性たちの世界を見る努力をしようと思います。
敢えて、女性枠に自分を置いて。


本当はいつか、「次世代の男性のために今自分ができること」と言わない男性のように、女性にとっても「次世代の女性のために今自分ができること」みたいな言葉が自然に無くなるといいなと思います。

でも、一方であと数年で「自然に男性が生きていける社会を目指して、僕達男性が次世代の男性のためにできること」という男性が増えるような気がしていて、この世の中は面白いです!
そして、男?女?概念が崩れていく未来。混じっていく未来。
ぐるぐるぐるぐる、世界は裏返り、混在していって、本当に面白い。

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