未来から来た夫,ハッティバッティのような夫

未来から来た夫,ハッティバッティのような夫

【奥田浩美ブログ】

未来から来た夫:


Googleで奥田浩美と検索すると、関連検索ワードとして「奥田浩美 夫」と出てきます。 「奥田浩美 本」とか、「奥田浩美 シリコンバレー」とか「奥田浩美 たからのやま」を差し置いて、一番に出てくるのです。


そんな夫が55歳の誕生日を迎えました。
Happy Birthday!
55歳かーーー。

18歳の頃から一緒にいるので、もう37年も一緒にいます。
今の私をもっともっと面白くするために夫は未来からやってきたのじゃないかと思うことがあります。

夫との出会いは大学1年生。彼は大学のサークルの1学年上でした。彼は工学部の電子工学科で、NEC 9801というその頃は非常に珍しいPCを持っていました。1984-85年のことです。
フロッピーディスクは1枚が食パンくらいの大きさの5インチ、今のようにアプリがあるような時代ではありませんから、自分でプログラムして家計簿などを作っていました。何もない黒い画面の世界から、カラフルな図表が出来ることに感動したのを今でも覚えています。
パーソナルコンピュータはその時代、車と同じくらいの値段がしましたからほとんど持っている人がいない時代。新しい技術にワクワクするのはこの出会いがあったからかもしれません。
そして、最初はさっぱりわからない専門技術でもずっと近くにいれば、その面白さがわかってくるという技術に対して物怖じしない姿勢も彼との出会いで得られたような気がします。

量子コンピューティング?


ところで、話は飛びますが、未踏ターゲット事業の審査委員会が先日行われました。
話題の量子コンピューティングのプロジェクト審査会です。量子コンピューティングの専門家でもない私がそこにいる意味があるのか?
審査資料には「アニーリング」とか「ゲート式量子コンピュータ」とかの技術説明が並んでいるわけです。
でも、そういう場でも私は自分の意味を出せる自信があります。技術がどこに向かっていっているか、何の発展に寄与するか?人間にとってそれはどんな意味を持っているか?という部分の追求には長けているから。
だからわからないなりに、技術のこともたくさん勉強して委員会に臨みます。

それでも、そういう場にいるのは心の底からワクワクするのです。
それは、私が技術者が大好きで、技術者が創ってきた世界が大好きで、そういう技術者たちの背景を知り、繋がることは社会にとってとても大切だと私は知っているし、単純に応援したいから。
最初はちんぷんかんぷんでも創りたい世界がわかってきて、応援したい気持ちがあれば、自分の役目が出てくるのです。
で、話は大きくそれましたが、そんな気持ちを技術者に対して持っているのは、夫との出会いが大きいのです。

あの頃、真っ黒だったNEC 9801という箱が見せてくれた世界の記憶。


夫はハッティバッティのよう:


ところで、夫はムーミンに出てくるハッティバッティのような人です。
ハッティバッティ?
そう、ニョロニョロです。

ムーミンママはニョロニョロのことを
「たいていは世界中を放浪していて、どこにもおちくつことはないし、なにひとつまわりのことに関心をもたない。ニョロニョロがよろこんでいるのか、おこっているのか、かなしんでいるのか、おどろいているのか、誰にもわからないのよ。感情というものがまったくないんじゃないかしら」
と言っていますが、謎に満ちた生物体。

ムーミン村のハッティバッティのような夫

夫は、昔から「面白い人が好き」と言っています。
そんな夫の言葉に応えたくて、世界の面白いものを見て、新しい技術を見て、自分も面白くなろうとやってきましたが、まだ驚くほど面白がってくれたことがありません。まさに、夫がよろこんでいるのか、おこっているのか、かなしんでいるのか、おどろいているのか、感情の振れ幅が少なく、感情というものがまったくないんじゃないかしら・・・というハッティバッティ。

もっともっと驚かれるほど人生を面白くしたいなーと思いつつ、私が死んだときに「浩美は本当に面白い人だったよ」と言ってくれるんじゃないかと思うとちょっと泣けてきました。

なんて、とりとめもない文章を綴る夫の誕生日。
私がなぜこんなにも技術の世界が好きかは、18歳で黒い画面と不思議な生命体に出会ったから、というお話でした。

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