マザーテレサへの報告
【奥田浩美ブログ】
インド滞在も半ばとなり、平成から令和へ移り変わる日に、ムンバイに移動してきました。
チェンナイのリゾート、マハバリプラムで少しくつろいで、31年ぶりのインドへのソフトランディング。
今日はムンバイ、この旅のメインの日。
ムンバイ空港からバイカラという地を訪れました。そして、やっと今日、人生の準備運動が終わったような気がしました。それは、平成が終わったからとかではなく、インド留学時代に残してきた自分の「葛藤」みたいなものにケリをつけてきたからです。
今回の旅の目的は、写真のこの施設に寄付をするためでした。「私もちゃんと稼げるようになりました。少しは社会に役立つ人間になりました。」という報告。
この施設は、マザーテレサのMissionary of Charityのムンバイの施設、Asha Danです。私は20代のインド留学時代のフィールドワークとして、1年間、500時間ほどをこのAsha Danで過ごしました。思い出したくもないほどの辛い経験と、シスターやワーカーの中にある矛盾などを封じたまま今日まで訪れることのなかったインドですが、あのマザーテレサですらその活動に虚しさと闇を感じていたことをずっと後に知り、少し救われた気がしました。私がその地で矛盾に満ちた社会と、偽善的な自分の在り方に疑問をもち、葛藤していたのは当たり前のことだったんだと今になって思います。
30年前とあまり変わっていない施設、本当はこういう施設が無くなっていることが幸福なのでしょうが、時代はそう簡単には変化しません。
私はこの写真の子どもたちの施設でアダプション(養子縁組)などのサポートをしていました。サポートといっても友人たちがインターン的に働く横で右往左往しているだけでしたが、子どもたちからはHiromi Hiromiと慕ってもらっていたと思います。
今回の滞在でも、同じような子どもたちが沢山いました。
ほとんど変わっていない施設への寄付。写真はその寄付の控えです。
すぐに結果が出ないことでも続けることの大切さを学んだこの地での1年。虚しさと葛藤を抱きながらもマザーを始めとする人々が、善きことに対して模索し続けるこの場に出会えたことは私の一生の宝物だと思います。